漢方診療は西洋医学とは全く異なった生体観、疾患概念を背景に発達してきた分野です。現在では東洋医学的病態・薬効が科学的なアプローチで解明されつつありますが、まだまだ未知の領域が多く残されています。

 西洋医学では、我々が通常よく耳にする病名(高血圧症、 糖尿病 など)に対して、その科学的病態に基づいて治療がなされます(血圧を下げる、血糖値を下げる など)。一方東洋医学の領域には、高血圧症・糖尿病といった西洋医学的な病名はありません。「気逆」とか「瘀血」といった東洋医学独特の病態を見極め、それに対して加療を行います。この時、自覚症状はもちろん 体質・顔貌・生活習慣・舌や脈の状態・暑がりか寒がりか、などを参考に評価します。西洋医学では聴診器、血圧計や血液検査を用いて評価するのと対照的です。つまり病気を診る「ものさし」が、東洋医学と西洋医学で異なるのです。

 このため総合病院でくまなく精査したけれど原因が特定できない症状や、診断がついて投薬治療を受けているが効果が不十分といった状態に対して、東洋医学的アプローチにより、ひょっとしたら今の症状を少しでも改善させることができるかもしれません。 いちど試してみてはいかがでしょうか。