1.血圧とは
血管の中には血液が充満しています。血管の中は密閉された空間で、その中に血液がぎゅっと詰め込まれた状態になっています。押し込まれた強さが血管内の圧として測定され、それが「血圧」です。電車の中に乗客が詰め込んだ状態をイメージしてください。満員電車で乗客がギュウギュウになった状態が「血圧が高い状態」という事です。血圧の高さは「mmHg」という単位で表します。
2.高血圧症とは
血圧は収縮期(上の血圧)120mmHg未満、 拡張期(下の血圧)80mmHg未満が正常とされています。正常値を超えて収縮期140mmHg以上または拡張期90mmHg以上になった状態を高血圧症と言います。
3.なぜ高血圧を放置するとダメなのか
心臓からの送り出される血液は、脈拍として1拍1拍血管壁をうちつけます。血圧が高いとより大きなダメージを血管壁に与えます。自覚症状として感じることはありませんが、ボディブローのように、少しずつ年月を経てダメージが蓄積していき、やがて血管壁が硬くなる・血管内腔が細くなったり詰まったりする・血管が破れるといった事態に発展し(動脈硬化といいます)、脳卒中や心筋梗塞・狭心症・腎不全といった病気の原因となります。また血圧が高いと心臓に過度の仕事をさせることになり、息切れや動悸・心不全の原因となりえます。
4.高血圧の原因は
高血圧には本態性高血圧と2次性高血圧があります。なんらかの病気が背景にあって、その結果として引き起こされた高血圧を2次性高血圧と言います。こういった明らかな誘因の無い高血圧を本態性高血圧といいます。本態性高血圧には遺伝的な要因や加齢が関与しますが、肥満・ストレス・睡眠不足・喫煙・塩分の過剰摂取が発症・増悪因子として重要です。
5.高血圧症の治療は
まず第1に生活習慣の改善が必要です。喫煙を控え、塩やしょう油の使用を減らしましょう。日本高血圧学会のガイドラインでは、高血圧の方は塩分使用目標を1日6g未満に控えるよう勧めています。生活習慣の改善を試みたうえで、目標を達成できない場合は投薬加療を受けることが望ましいです。
当院では、20年以上にわたり循環器内科医として動脈硬化疾患・心臓病を治療してきた経験を活かし、高血圧治療に取り組んでいます。