インフルエンザとは?インフルエンザワクチンとは?
☑ インフルエンザとは
インフルエンザは、インフルエンザウイルス感染による急性の呼吸器感染症です。咳、喉の痛み、悪寒、発熱、全身のだるさ、筋肉痛などの急な症状が現れます。通常は1週間ほどで回復しますが、高齢者、小さな子ども、妊婦、基礎疾患のある方では重症化することがあります。
ウイルスの排出は、発症の1日前から発症後7日程度まで続くとされています。
☑ インフルエンザウイルスの特徴
インフルエンザウイルスにはA・B・C・Dの4種類があり、人に感染するのはA・B・C型(D型は主に牛に感染)です。季節性インフルエンザの原因となるのはA型とB型です。
インフルエンザウイルスはRNAという遺伝物質を持ち、変異しやすい性質があります。ウイルス表面の抗体結合部位にわずかな変化が頻繁に起こる現象を「抗原ドリフト」といい、これにより人の免疫応答やワクチンの効果が低下し、季節性の流行が起こります。
インフルエンザA型では、まれにウイルス抗原性が大きく変化する「抗原シフト」が起こることがあります。このような新しい亜型に対しては、ほとんどの人が免疫を持たないため、パンデミック(世界的大流行)が引き起こされます。
☑ 感染経路
インフルエンザは、感染者の咳やくしゃみによって飛び散る飛沫粒子(比較的すぐに地面に落ちる)や、エアロゾル(空気中に一定時間浮遊する微粒子)を吸い込むことで感染が広がります。
また、ウイルスが付着したドアノブやキーボードなどを触った手で鼻や口に触れることによって感染する可能性もあります。
☑ 診断
診断は主に臨床症状をもとに行われます。必要に応じて迅速診断キットが使用されるほか、一部ではウイルスRNAを検出する分子検査が行われています。
☑ 治療
発熱や咳などに対する対症療法が行われます。また、インフルエンザウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬(タミフル、イナビルなど)が処方される場合があります。
インフルエンザウイルスの増殖は発症後24~72時間でピークを迎えるため、できるだけ早期、特に発症後24~48時間以内に治療を開始することが効果的です。
適切な抗ウイルス治療により、症状の持続期間をおおよそ1日程度短縮し、合併症のリスクを低下させることが期待できます。
☑ ワクチンによる予防
インフルエンザワクチンは、その年に流行が予測されるウイルス株に合わせて設計されており、接種後約2週間で免疫が形成されます。
現在、国内で用いられているインフルエンザワクチンは、A型(H1N1株およびH3N2株)とB型(ビクトリア系統株)の計3種類のウイルス株を含む「3価ワクチン」です。
毎年のワクチン製造株は、国立感染症研究所での検討および厚生科学審議会での審議を経て、厚生労働省が決定し、その決定に従い各製薬企業が製造しています(※一部異なる製造スキームのワクチンもあります)。
インフルエンザワクチンは、季節性インフルエンザを予防するとても重要な方法です。厚生労働省の資料によると、発病予防効果は、高齢者福祉施設に入所している65歳以上の高齢者で34~55%、6歳未満の小児では約60%とされています。
免疫効果の経時的低下や抗原ドリフトによる変異に対応するため、ワクチンは毎年接種することが推奨されています。
☑ その他の予防策
・手洗い、アルコール系消毒薬の使用、室内の換気
・咳エチケット(マスクの着用、咳やくしゃみの際に口や鼻を覆う)
・流行期の人混みを避ける、体調不良時は外出を控える
これらの行動は、インフルエンザの感染拡大を抑える助けとなります。
☑ まとめ
抗ウイルス薬は早期に使用するほど効果が高いため、体調不良を感じた場合は早めの受診が重要です。
また、ワクチン接種はインフルエンザ予防においてたいへん効果的な手段です。
参考文献
・Lancet. 2022 Aug 26;400(10353):693-706
・J Midwifery Womens Health.2021 Feb 1;66(1):45-53
・BMJ.2016 Dec 7;355:i6258
・国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイト

